「言葉の力」
まもなく春を向かえようとするある晴れた日、
NYの公園で浮浪者と出会った。
その浮浪者は首に
「I am blind」
と書いたものを掛けて物乞いをしていた。
そうか。彼は目が見えないのか
しかし通行人は誰一人として彼にお金をあげる者はいない。
素通りだ。
芝生に座っていた男は立ち上がり、その浮浪者に近づいた。
男は少しばかりのお金を浮浪者に恵み、
その間に気づかれないように
浮浪者が首から掛けていた「I am blind」
という文字を別の言葉に書き換えて別れた。
それから 1時間が過ぎる頃、その浮浪者は異変に気づいた 。
おかしい…
あの男に出会ってから、
今度はすれ違う人、すれ違う人が
みんな恵んでくれるようになった。
物乞いのお椀にはコインが溢れ、
彼に同情の声までかけてくれるようになった。
「あの男の運なのか?
あの男は魔法使いなのか?」
実は、男は「I am blind」という言葉を
こう書き換えていたのだ。
『Spring’s coming soon.But Ⅰ can’t see it.』
(春はそこまで来ているけど、私はそれを見ることができない)
表現の仕方をちょっと変えただけで
人生がまるっきり違ったものになる。
ほんの少し考え方を変えるだけでいい。
ほんのちょっと自分の周りを見る視点を
変えるだけでいいのです。
「あの男」は実在します。
名前はアンドレ・ブルトン。
フランスの詩人です。
谷田-虎の穴・静学サッカー(Facebook)より転載)